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つり通信

海洋フォトジャーナリスト豊田直之が、サカナ達の優雅な姿と共に、海と釣りへの深い想いを語ります。

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2008年4月15日(火)

二十三話 我が家が銀座・六本木?の高級寿司店? ハナダイ

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先日、ハナダイ釣りに行ったところ、手のひらサイズがたくさん釣れてしまった。釣りあげた時点で放流してもいいのだが、釣り人が考えるほど、意外に放流したサカナは生存できない。たいがい鳥か他のサカナに喰われるか、結局は死んで沈んでしまっている。(これはそのうちに詳しく話すつもりだが、磯で実際に潜って、放流後の生存率を調べた結果である)

釣った以上は、最後まで責任もって美味しく食べてあげる。これが命のやりとりをする釣りの鉄則であり、ボクの釣りの哲学のひとつでもある。

そんな偉そうなこと言っても、この大量のハナダイをさてどうしたものか。自分が釣った30数尾に加え、仲間からももらってしまったので合計50数尾。まずとにかくウロコを落とし、三枚におろした。そしておろしながら、これを寿司ネタにしようと考えたのだ。

ひとつは、酢じめ寿司
(写真の左3つ)
まず皮のついたままの身に薄塩をして1時間ほど寝かせる。その後、さっと水洗いし、水気をキッチンペーパーでとる。これを容器に入れ、市販の寿司酢がちょうど浸る程度にしておよそ1時間ほどつけこむ。酢からあげたら、キッチンペーパーで水気をふきとる。酢飯を用意しておき、それで握る
 
それはもう銀座や六本木の高級寿司店に匹敵する、大人の味の美味しさとなる。

もうひとつは昆布じめ
(写真の右3つ)
こちらは皮のついた身を皮側を上にしてまな板の上に並べ、熱湯をかけて湯引き。すぐに氷水にいれて熱を取り、水気をキッチンペーパーで取る。
身はさっと酢をくぐらせてから、水につけて戻しただし昆布のうえに身を並べ、さらにその上から、だし昆布を乗せてサンドイッチ状に。上から軽めの重しをして、2時間ほど寝かせる。酢じめの場合と同じように酢飯を用意しておき、これで握る
 
お好みで木の芽を身と酢飯の間に入れるとこちらも酢じめと両者互角の高級寿司店並みのお味だ。

たしかにちょっと手間と時間はかかるのだが、手をかけた分さらに美味しくなる。この両方の寿司、まさに家にいながらにして至福の食卓を堪能できることうけあいだ。ちなみに我が家では、カミさん、子供たちもあっという間にたいらげてしまい、「お父さん、またこのサカナ釣ってきてね」だと…。これでまた大手を振って釣りに行かれるのだった。



(次回のテーマ予定はイサキ。1日に更新予定です)

豊田直之プロフィール

龍宮千一夜

2008年4月15日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク

2008年3月25日(火)

二十一話 肝はキモいような、美味しいような  カワハギ

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ボクの仕事仲間が2人、口を揃えて「近いうちに釣りに連れて行って欲しい」と言う。それまでまったく釣りなんて話題にもならなかったので、これでまた海釣りの話題で盛り上がれるなと、ボクは密かにほくそ笑んだのだった。

だがさらに詳しく聞くと、2人ともまったくの素人で、釣り道具もクーラーもウエアすら何も持ってやしない。そして釣りたいものはなんと「カワハギ」だというではないか。

カワハギ釣りは難易度も高く、それこそベテランの域でもときには泣かされる厳しい釣り。初心者が果敢に挑んでも、ボウズをくらうか、船酔いでダウンがせきのやま。何も初回からそんなに難しい釣りではなく、のんびりと静かな内湾でキス釣りでもしませんかとなだめてみたが、2人は頑固にカワハギ釣りだと言い張る。

なんでそこまでカワハギにこだわるのかをたずねると、どことやらで、冬場のカワハギの肝は天下一の絶品。それを食べるなら自分で釣るしかないという話を聞いたからだという。

結局、そこまで言うならと、その2人を連れてカワハギ釣りに行くことになった。かろうじて1人2?3尾釣らせることもでき、喜んで帰る姿を見て、ボクもとりあえずホッとしたのだった。

それから3ケ月ほど経ったある日。再びその2人と会う機会があり、カワハギ釣りの話題となった。だが2人とも浮かぬ顔をしていた。どうやら肝が思ったほどというよりも、ちっとも美味しくなかったらしいのだ。

よく聞いてみると、肝をそのままたたき、それを醤油にとかして刺身を食べたらしい。刺身がうまく切れなかったこともあったのだろうが、生臭さが鼻について食べられなかったのだそうだ。

本来、肝は可能な限り崩さないように取ってから、水で半分に割った日本酒につけてよく洗い、そのあとさっと軽く熱湯をかけて湯引きすると生臭さは消える。このような下準備を施してから、肝あえのお刺身、または肝そのものをポン酢かわさび醤油でいただくのだ。

こうしてみると、改めて釣りとは、ただ釣るだけではない。食べ方も釣技のひとつだとボクは思うのだ。

(次回はハナダイ。連動企画として釣り方や食べ方を解説する動画、また隔週刊つり情報での月1連載も始まります)

豊田直之プロフィール

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2008年2月19日(火)

十六話 やはり刺身かから揚げか? カレイ

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おそらく釣り人の特権というのは、魚屋やスーパーでは手に入らない超自然な状態で、しかも抜群に新鮮な食材を用意できることだろう。とくにマコガレイなどというと、自分で釣らない限りなかなかお刺身でいただくことはできない。

ボクもマコガレイのお刺身をいただいたのはここ数年前ほど。自分で釣ってきたものを自分でおろしてみた。30cmオーバーの良型なら、まずは絶対にお刺身でいただきたいもの。身は白身の部類だが、うっすらとピンク色を帯びている。薄くスライスしたお刺身は、好みにもよるかもしれないが、普通にわさび醤油でいただくよりも、ポン酢醤油にもみじおろしでいただいた方が合うように思う。ほんのりと甘みがあり、しこしことした歯ごたえも堪能できるはずである。

またやはり新鮮な状態だと旨みが違うと思えるのが、から揚げである。気の利いた居酒屋などに行くと、カレイのから揚げなるメニューもあったりするが、釣りたてのものは身離れのよさといい、味といい、それとはまったく異なる感じだ。

マコガレイをはじめ、カレイの仲間は、うろこがかなり細かい。下ごしらえとして表裏両側を丁寧に落とすことがポイント。エラと内臓とを取り除いたら、全体に片栗粉をまぶし、160度ほどに熱した油でカラリと揚げる。別にやや薄味の天つゆを作っておく。揚げたカレイを皿に乗せ、その上から全体にかかるようにその天つゆを大胆にかけてひたす。大根おろしを添え、温かいうちにいただく。ビールでも焼酎でも合うが、やはりカレイ料理には熱燗の日本酒がベストチョイスな気がする。

白ワインとアレンジするなら、洋風アレンジもいいだろう。フライパンにオリーブ油少々とニンニクスライスを入れて中火にかける。カレイの身とトウガラシとをいれ、身の両面に色がつくまで焼く。塩コショウで味付けし、醤油を少し加えて味を調える。身の上に一緒に揚げたニンニクスライスを乗せ、クレソンの葉を添えると、日本酒よりもワインの似合うおしゃれな料理となる。ぜひお試しあれ。

(つづく)

豊田直之プロフィール

2008年2月19日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク

2008年1月22日(火)

十二話 猛毒のヒレとヒレ酒? オニカサゴ

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オニカサゴはとにかく美味い。まず一般鮮魚店などには流通しないから、このサカナを味わおうと思ったら、自分で食材を調達せねばならない。刺身OK、から揚げOK、なべOK。サカナの見かけとは裏腹に、とにかく上品で深みのある美味さなのだ。

オニカサゴが美味いとうなる人は、酒呑みが多いかもしれない。そんな人にうってつけなのがこのサカナの「ヒレ酒」である。「ええっ!?毒のあるヒレの酒?」
大丈夫。毒のないヒレを使う。伊豆の漁師さんに教えていただいたのだが、だまされたと思って一度試してみて欲しい。
ヒレといっても、猛毒のある背ビレではない。必要なのは胸ビレと尾ビレ。これらのヒレを調理するときに根元からスパッと切っておく。このとき、身がごそっとついてこないような部分で切ったほうがいいようだ。かといってあまりにもヒレだけをちぎったような切り方では味が出にくいのだが…。少しだけ身がついている感じが望ましい。

切ったヒレは、まず一回よく真水で洗い、指で擦り取るようにして「ぬめり」とかがついていないようにする。そしてそのヒレをなるべく広げ、立てかけた「まな板」でも、窓ガラスでもいいので、平らな板にはりつけて乾かす。ヒレの表面の水分が飛び、半乾きになったころがベスト。コンロに金網を乗せ、弱火で軽くあぶる。香ばしい香りがしてきたら、人肌よりやや熱めの日本酒熱燗に入れる。いきなり濁ってはくるが、これまたフグのヒレ酒よりも旨いと思えるのだ。すぐに呑まないなら、半乾きの状態で、これを小さなタイプのジップロックに入れて冷凍しておけば、呑みたいときに使える。

あとちなみに毒のある背ビレの扱いだが、猛毒はこのサカナが死んでも威力は衰えない。刺されてとんでもない思いをするよりは、現場で毒ビレを切り落としておくべき。このオニカサゴの1回目にも書いたが、ガンガゼバサミを用意し、サカナはバリバサミではさんで持つか、口に親指を入れて、下あごを持つようにするといい。顔を近づけて切ると、毒液が飛んで目に入ったりする危険性があるので、船べりから手を伸ばし、風上側に自分が位置するようにして切る。まず背ビレの太い棘のヒレ、そして尻ビレの太い棘の部分。ここだけきちんと根元付近から落としておけば、刺されることはない。心配なら、腹ビレの棘の部分も落としておいてもいいだろう。

(次回へつづく)

2008年1月22日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク

2007年12月18日(火)

八話 子供の味覚をなめちゃぁいけませんぜ!

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今まで一番美味しかったシマアジは、やはり前回書いた神津島の磯で7枚の良型シマアジを釣ったものを民宿でお寿司にしてもらったときのものだ。身はとろけるようで、上品で、セレブな食味というのはこういうことを言うのだろうと、そのとき思った。ところが、それからだいぶ後になって、シマアジ超美味説がもろくも崩れ去った事件が起きた。実は我が家ではこんなできごとがあったのだ。

ボクは、とある夏に八丈島南沖へ遠征釣りにでかけた。そのときに青ダイとシマアジを釣ってきた。青ダイもシマアジも良型。釣り味はとても良好だった。現場できちんと血抜きし、帰ってから3枚に下ろして一日寝かして刺身にしてみた。大きな皿に右半分シマアジ、左半分青ダイという超高級料亭のような我が家の食卓。

「どうだ、どっちも旨いだろう。どちらのサカナも超高級魚で、一生のうち口に入らないかもしれない高くて美味しいサカナだぞ」

ところが食べ始めると、なぜか左半分がどんどん減っていき、右半分がそのまま残ってきた。

「あれっ? こっちがシマアジの刺身。美味しいはずだぞ」

ボクのこの問いに、我が家の娘たちから実に明快な答えが返ってきた。

「だってお父さん、こっち側はとても美味しいけど、こっち側はあまり美味しくないよ」

「えっ???」

不思議に思ったボクは、まず青ダイのお刺身を、続いてシマアジのお刺身をほおばった。ボクも特に食通と言えるほどではないが、日本全国のサカナを釣り、旨いというサカナは食べた。その舌で判断してみると、たしかに娘たちの言うとおり、青ダイのお刺身は甘みもあり、とても美味しかったのだが、それに比べてシマアジはなにか青臭い感じがする。現場できちんと血抜きをしておいたはずなのだが、妙に生臭さが鼻についた。おそらく同時に食べ比べなければなんともないはずなのだろうが、食べ比べると味の差は明らか。しかも青ダイを食べてからだとシマアジの身に箸が出ないのだ。

たしかにシマアジは、南に行けば行くほど味が劣り、房総沖や伊豆半島沖、三宅島や神津島辺りまでが最も美味とされている。とはいえ、高級魚・シマアジにかわりはなく、箸をつけないというほどではないはずである。

子供の味覚は侮れない。ファミレスなどでも、お子様メニューはけっこう子供の味覚を小馬鹿にしたような味付けのものもあったりする。意外と子供の味覚は、実は大人より敏感で、かなり優れたものを持っているとボクは思うのだが…。

(次回へつづく)

2007年12月18日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク

2007年11月20日(火)

四話 沖縄のクロダイが一番旨かった

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クロダイもほぼ日本全国に分布し、各地でさまざまな釣り方が行なわれている。ボクは釣ったものは、身に毒があったり、よほどの外道でない限り食べてみる主義である。
日本各地で釣ったクロダイを食べてみる。意外に思ったのは、釣った場所によってかなり味も違うのだ。
今まで一番クセのあると思えたのは、千葉の銚子の磯で釣ったもの。釣り上げたときから、サカナが妙に磯臭い。銚子でも、利根川河口の堤防で釣り上げたものはこんなことない。だが、磯で釣った奴は、それこそウニを主食としていたのか、ウニガラを干したような匂いがしていた。地元のすし屋で刺身にして食べたが、やはり身にも磯臭さが残っていた。まぁこの磯臭さが、また焼酎にも微妙にマッチして、けっしてクロダイの食味に悪い印象を持ったわけではなかった。
あと一番の驚きは、沖縄で釣ったミナミクロダイ。南のサカナは比較的臭みが強かったり、大味なものが多く、このミナミクロダイに関してはまったく期待はしていなかった。さばいて刺身にして、とりあえずわさび醤油で一口。
「えっ?? なんでこんなに身が甘いの? 旨い、旨いっ!」
白身の身でまったくクセはなく、脂の乗りもほどほど、そして口に入れると甘みがじわっとにじみ出るという感じだ。刺身をいただいた後、残った身にこぶだしのつゆでお茶漬けにしてみた。これまた絶品。まずは沖縄に釣りに行くべし。

(次回へつづく)

2007年11月20日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク