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つり通信

海洋フォトジャーナリスト豊田直之が、サカナ達の優雅な姿と共に、海と釣りへの深い想いを語ります。

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2008年3月11日(火)

十九話 自由自在に泳ぎ回る巧みな泳法 カワハギ

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昨年の10月ぐらいから、今シーズンはカワハギが釣れ続いた。一人50枚なんて信じられない釣果も連日報じられ、カワハギフィーバーとなった。好釣果の原因は、カワハギが例年よりも多かった年でもあるのだろうが、微細なアタリをとれるようになった最新のサオを含め、釣技の進化も理由として挙げられるだろう。

そもそもカワハギは、背ビレ、尻ビレを巧みに使って泳ぐサカナ。もちろん早く泳ごうとするときは尾ビレを使うが、水中のある場所にとどまったり、エサなどにゆっくり近づいたりするときは、背ビレと尻ビレとをうねるようにヒラつかせて巧みに泳ぐ。それはまるでヘリコプターのホバリング。上昇も下降もせず、また前進後退もせず、空間にとどまる。胸ビレはそれを補助するようにブレーキをかけたり、平衡を保ったり、わずかに前進するときなどに使われている。

だから、仮に胴付き仕掛けをオモリを海底につけて立たせたような場合でも、宙ぶらりんとなったエサに対し、自分の体重が仕掛けに一切かからないような泳ぎ方ができるのだ。

言ってみれば、ハチが飛びながら花の蜜を吸う。そんなニュアンスだと思えばわかりやすい。となると、アタリとしては、カワハギがエサをかじるガツッとか、引っ張るときのグイッという感じしかミチ糸を通じてサオまで伝わらない。

また喰い方は、釣り人からするといやらしい喰い方。小さな嘴(くちばし)状の口で、口先だけでちぎって喰う。いきなり飲み込むようなことはしない。だからなかなかハリにかからないのだ。

ところが、本来のカワハギはこんなセコイ喰い方はしない。ふつう彼らは、海底の砂地などに隠れている小さなエビ・カニ類、ゴカイ類、貝類などを食べている。その食べ方とは、海底に向け口から強く水を吹きつけて砂を飛ばし、そのことでむき出しになったエサをガツガツと喰う。つまりかなり大胆な喰い方をするサカナなのだ。

なのに、なぜ仕掛けの付けエサを大胆に喰ってくれないのか?  その本題は来週お話することにしよう。

(つづく)

豊田直之プロフィール

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