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つり通信

海洋フォトジャーナリスト豊田直之が、サカナ達の優雅な姿と共に、海と釣りへの深い想いを語ります。

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2008年3月18日(火)

二十話 仕掛けが立つと大胆には喰わなくなる  カワハギ

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ふだんは、海底の砂に強烈な水鉄砲をぶつけて、そこに潜む小さなエビ・カニ類やゴカイ類、貝類などを大胆に捕食するカワハギ。だが、ボクたちが仕掛けを入れると、喰い方に大胆さはなくなり、まるでこそ泥がかすめるようにエサを盗っていく。この違いは何か?

ボクはその謎を解くべく、もう何年も前にカワハギ釣りの現場に潜ってみたことがある。そこで見たカワハギの摂餌行動は、実に興味深いものだった。

まず、カワハギ釣りの仕掛けが胴突き仕掛け。オモリが最も先端にあり、ハリはその途中から2~3本枝バリとして出ている。この仕掛けを沈めて、オモリが着底する。一度サオをゆっくり大きくあおって、再びオモリを着底させ、仕掛けを立てる。これが大昔のカワハギ釣りの釣り方だった。

エサは宙ぶらりんとなり、それを喰うためにカワハギはちょうど運動会のパン喰い競争のような喰い方になる。それでもカワハギは、前回のお話のように巧みにホバリングをして喰うが、そのときは、まるでエサを喰いちぎるような喰い方をする。

それから時代はまず、“集寄(しゅうき)”に走った。アワビの殻を張ったものなど、とにかくキラキラするものがはやった。カワハギも好奇心が強く、海底で集寄がキラキラしていると、寄ってきたのだ。

そこからまず「タタキ釣り」という、集寄を海底で躍らせて、とにかく寄せてエサを喰わせる釣り方が流行った。ところが、その一方で、集寄を中オモリと見立てて、仕掛けを海底にはわせた方がカワハギの喰いがいいことに気づいた人たちもいたのだ。

実際に仕掛けをはわせ、エサが海底に落ちているような状況を作ってやると、カワハギは本来の大胆な喰い方をして、何度もハリを口の中に入れては出す。仕掛けをはわすことでこの行動にシフトすることを、ボクも水中観察で確かめることができたのだ。

ここ何年かは、さらに釣技が進歩したのと同時に、メーカーサイドもさらに鋭敏な穂先を持つ竿を開発し、その相乗効果で今シーズンはかなり豊かな釣果が連日報じられた。
さすがに釣期も終盤となり、釣果は減ったが、まだまだこの釣りは今後も進化し続けそうな気配である。

(つづく)

豊田直之プロフィール

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