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つり通信

海洋フォトジャーナリスト豊田直之が、サカナ達の優雅な姿と共に、海と釣りへの深い想いを語ります。

現在位置: つり通信 > 豊田直之フォトエッセイ > 八話 子供の味覚をなめちゃぁいけませんぜ!

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2007年12月18日(火)

八話 子供の味覚をなめちゃぁいけませんぜ!

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今まで一番美味しかったシマアジは、やはり前回書いた神津島の磯で7枚の良型シマアジを釣ったものを民宿でお寿司にしてもらったときのものだ。身はとろけるようで、上品で、セレブな食味というのはこういうことを言うのだろうと、そのとき思った。ところが、それからだいぶ後になって、シマアジ超美味説がもろくも崩れ去った事件が起きた。実は我が家ではこんなできごとがあったのだ。

ボクは、とある夏に八丈島南沖へ遠征釣りにでかけた。そのときに青ダイとシマアジを釣ってきた。青ダイもシマアジも良型。釣り味はとても良好だった。現場できちんと血抜きし、帰ってから3枚に下ろして一日寝かして刺身にしてみた。大きな皿に右半分シマアジ、左半分青ダイという超高級料亭のような我が家の食卓。

「どうだ、どっちも旨いだろう。どちらのサカナも超高級魚で、一生のうち口に入らないかもしれない高くて美味しいサカナだぞ」

ところが食べ始めると、なぜか左半分がどんどん減っていき、右半分がそのまま残ってきた。

「あれっ? こっちがシマアジの刺身。美味しいはずだぞ」

ボクのこの問いに、我が家の娘たちから実に明快な答えが返ってきた。

「だってお父さん、こっち側はとても美味しいけど、こっち側はあまり美味しくないよ」

「えっ???」

不思議に思ったボクは、まず青ダイのお刺身を、続いてシマアジのお刺身をほおばった。ボクも特に食通と言えるほどではないが、日本全国のサカナを釣り、旨いというサカナは食べた。その舌で判断してみると、たしかに娘たちの言うとおり、青ダイのお刺身は甘みもあり、とても美味しかったのだが、それに比べてシマアジはなにか青臭い感じがする。現場できちんと血抜きをしておいたはずなのだが、妙に生臭さが鼻についた。おそらく同時に食べ比べなければなんともないはずなのだろうが、食べ比べると味の差は明らか。しかも青ダイを食べてからだとシマアジの身に箸が出ないのだ。

たしかにシマアジは、南に行けば行くほど味が劣り、房総沖や伊豆半島沖、三宅島や神津島辺りまでが最も美味とされている。とはいえ、高級魚・シマアジにかわりはなく、箸をつけないというほどではないはずである。

子供の味覚は侮れない。ファミレスなどでも、お子様メニューはけっこう子供の味覚を小馬鹿にしたような味付けのものもあったりする。意外と子供の味覚は、実は大人より敏感で、かなり優れたものを持っているとボクは思うのだが…。

(次回へつづく)

2007年12月18日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク