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つり通信

海洋フォトジャーナリスト豊田直之が、サカナ達の優雅な姿と共に、海と釣りへの深い想いを語ります。

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2007年11月27日(火)

五話 クロダイは、大きな粒の沖アミを選んで喰った

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クロダイと付き合い始めてかれこれ33年が経つ。いまならクロダイがどうやってエサを喰うのかをボクは水中で見ることができるようになったが、ここまでたどりつくのには、とにかく試行錯誤の連続だった。
例えば、ボクが昔からよく行っていた神奈川県・三浦の葉山周辺でも、水中でクロダイの姿を見ることはある。だが、撮影したいときに必ずいるかというと、ほとんどハズレの確率の世界。しかもクロダイはふつう濁った海にいるため、撮影するには透明度が悪すぎることが多い。となれば、どうやったらクロダイの生態が観察でき、しかも撮れるのか?
それは魚影が濃く、しかも透明度のいいところに行くしかない。佐渡島でクロダイがたくさん釣れたからと聞いては佐渡島まで行き、青森県・下北半島で澄んだ海面からクロダイが群れているのが見えると聞けばでかけて行った。九州は長崎の五島列島・福江島で60cmオーバーのクロダイが釣れたと聞けば、撮影機材を積んでクルマででかけた。
泳いでいるシーンやハリに掛かってから暴れるクロダイは撮れたのだが、肝心の喰うシーンは撮れていなかった。ところがあるとき、たまたまとあるところを潜っていたら、クロダイがいるわいるわ。こんなところにいたんだ。それからはエサを持参して、海中で撒いてみたりもした。すると最初は遠巻きにして見ていたクロダイだったが、こちらが危害を加えないとわかると、徐々に慣れてきて、目の前でエサを喰うようになったのだ。
クロダイは、昔から神経質なサカナで、ちょっとした物音や光などで逃げるというのが常識だったが、それはまったく根拠のない話だったのだ。このことについては、もっと驚くべき事実があるし、まだまだ話はつきないのだが、これはまたの機会に話すとしよう。
警戒心を解いたクロダイは、エサの落ちているエリアでは、ふだんの水平の姿勢から、エサを見つけるたびに斜め下を向いた。ちょうど海底に対して45度ぐらいの角度で、ちょこちょこと下を向いては海底に落ちているエサをチェックしていた。そして興味深いのが、2~3粒落ちているところでは、じっくりとエサを見つめ、どれにしようかと悩んだ挙句、どうも大きな粒の沖アミから喰い始める傾向が見られたのだ。

(クロダイの第一部終了。次回からシマアジ)

2007年11月27日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク