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つり通信

海洋フォトジャーナリスト豊田直之が、サカナ達の優雅な姿と共に、海と釣りへの深い想いを語ります。

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2007年10月25日(木)

一話 クロダイ、ボクの人生をくるわせた奴

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 中学・高校時代のこと。ボクはたいていの日曜日に、友人と一緒に三浦に釣りに行った。当時は堤防からの投げ釣りが主体で、シロギスやメゴチを釣って大喜びしていたものだ。
 ある日のこと、今でも思い出すのが、葉山の先にある久留和の堤防でのこと。いつものように投げ釣りを楽しんでいたその横で、見知らぬおっさん釣り師のサオが大きく曲がった。しばらくのやり取りで上がったのは、40cmほどのメジナ。
「へえ~っ、こんなとこでこんな大物が釣れるんだ」
友人と一緒に羨望のまなざしでそのおっさんを見た。それから5分もしないうちに、またそのおっさんのサオが大きくしなった。「ええっ?」と見ると、これまた上がってきたのが40cmを超える良型クロダイ。太陽の光を浴び、その黒がね色に輝く魚体。いかにも悔しそうな顔をして釣り師をにらむ。その精悍な顔つきのサカナにボクは魅せられた。
「オレもあんなスゴイ奴を釣ってみたい」
たかがサカナごときに魅せられ、その後20回近くの連続ボウズを強いられてこてんぱんにやられ、釣れない理由を求めて悔し紛れに海に潜った。ボクは、このときから、まるで羅針盤のこわれた船のような人生を歩むことになってしまったのだ。

(次回へつづく)

2007年10月25日(木) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク