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つり通信

海洋フォトジャーナリスト豊田直之が、サカナ達の優雅な姿と共に、海と釣りへの深い想いを語ります。

豊田直之フォトエッセイ RSS

2008年5月 1日(木)

二十四話 「初夏の産卵期に向け、まさに旬のサカナ! イサキ」
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桜前線があっという間に通り過ぎ、季節は春から夏へとゆっくりとうつろう。
菖蒲の紫色の花が揺れ、こいのぼりが大空をゆったりと泳ぐ頃、船釣りではイサキの時期となる。

イサキは、岩礁帯の根に群れで付く。
釣り船の船長は、魚探の画面を見て、群れがどのような状態であるかを判断し、お客さんに指示ダナをアナウンスする。魚探というのは、魚群探知機の略で、超音波を使った漁労機械。いわゆる「やまびこ」の原理を応用したもので、発射した音波が障害物に当たってはねかえってくる。
海底とその間にいる魚群に超音波が当たって反射すると、ごくわずかな時間差が、また海底と魚群とでは反射の強弱も違う。それを機械の中で演算処理し、画面に出すものだ。

現在主流のカラー魚探は、反射信号の強いものは赤く、弱いものは青く映る。海底は茶色に近い赤色で映り、その上方に群れが映る。群れの中心部は赤く、周辺は水色のような色で表現される。

魚探を使っている漁船の真下を潜ると、まるで金属をハンマーでたたくような音がして、頭が痛くなる。おそらくサカナにとっても迷惑な音がしているのだろうが、逆にこの音がすると、上からエサが落ちてくるとの学習行動になっている場合もあるというから驚きだ。

さて、話は少し逸れてしまったが、イサキ釣りの指示ダナは、海面からの水深でアナウンスされることが多い。例えばコマセで狙うマダイ釣りなどでは、海底から何メートルとアナウンスされることが多い。同じやり方をイサキでやってしまうと、仕掛けが根がかりしてしまう危険性がある。だから、海面からの水深という指示ダナの方法になるのだ。

基本的に釣りやすく、船釣りの入門には実にぴったりのターゲット。ちょうど6月から7月が産卵期。積極的にエサも喰ってくるし、料理しても実に美味しい。これを機会に、イサキの船釣りにチャレンジしてみてはいかがだろうか?

(次回の予定はイサキの料理。15日に更新予定です)

豊田直之プロフィール

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2008年4月15日(火)

二十三話 我が家が銀座・六本木?の高級寿司店? ハナダイ

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先日、ハナダイ釣りに行ったところ、手のひらサイズがたくさん釣れてしまった。釣りあげた時点で放流してもいいのだが、釣り人が考えるほど、意外に放流したサカナは生存できない。たいがい鳥か他のサカナに喰われるか、結局は死んで沈んでしまっている。(これはそのうちに詳しく話すつもりだが、磯で実際に潜って、放流後の生存率を調べた結果である)

釣った以上は、最後まで責任もって美味しく食べてあげる。これが命のやりとりをする釣りの鉄則であり、ボクの釣りの哲学のひとつでもある。

そんな偉そうなこと言っても、この大量のハナダイをさてどうしたものか。自分が釣った30数尾に加え、仲間からももらってしまったので合計50数尾。まずとにかくウロコを落とし、三枚におろした。そしておろしながら、これを寿司ネタにしようと考えたのだ。

ひとつは、酢じめ寿司
(写真の左3つ)
まず皮のついたままの身に薄塩をして1時間ほど寝かせる。その後、さっと水洗いし、水気をキッチンペーパーでとる。これを容器に入れ、市販の寿司酢がちょうど浸る程度にしておよそ1時間ほどつけこむ。酢からあげたら、キッチンペーパーで水気をふきとる。酢飯を用意しておき、それで握る
 
それはもう銀座や六本木の高級寿司店に匹敵する、大人の味の美味しさとなる。

もうひとつは昆布じめ
(写真の右3つ)
こちらは皮のついた身を皮側を上にしてまな板の上に並べ、熱湯をかけて湯引き。すぐに氷水にいれて熱を取り、水気をキッチンペーパーで取る。
身はさっと酢をくぐらせてから、水につけて戻しただし昆布のうえに身を並べ、さらにその上から、だし昆布を乗せてサンドイッチ状に。上から軽めの重しをして、2時間ほど寝かせる。酢じめの場合と同じように酢飯を用意しておき、これで握る
 
お好みで木の芽を身と酢飯の間に入れるとこちらも酢じめと両者互角の高級寿司店並みのお味だ。

たしかにちょっと手間と時間はかかるのだが、手をかけた分さらに美味しくなる。この両方の寿司、まさに家にいながらにして至福の食卓を堪能できることうけあいだ。ちなみに我が家では、カミさん、子供たちもあっという間にたいらげてしまい、「お父さん、またこのサカナ釣ってきてね」だと…。これでまた大手を振って釣りに行かれるのだった。



(次回のテーマ予定はイサキ。1日に更新予定です)

豊田直之プロフィール

龍宮千一夜

2008年4月15日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク

2008年4月 1日(火)

二十二話「桜も満開! 釣りも満開! ハナダイ」

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開花直前に寒い日が続いたり、雨が降ったして、桜の開花はもちろんのこと、だいたい満開のタイミングは例年もたつくもの。だが、今年は3月中旬に暖かい日が続き、つぼみから一気に満開へ。このままでいくと、入学式の行なわれるときには、すでに花が散りそうな勢いである。

また釣りにおいても、3月上旬から中旬にかけて春の潮がはいって濁り、いまひとつ釣果が鈍りがちだったのが、ここへきて桜の満開と歩調を合わせるかのように、急に伸び始めた。

そんなこの時期の釣り物のひとつが「ハナダイ」だ。

本当の名は「チダイ」。エラ蓋の縁が血のように鮮明な赤色であることから“血鯛”というのが由来らしい。

だが、釣り人は「ハナダイ」という、もっと夢のあるというか、イメージしやすい名で呼ぶ。これもいくつかの説があり、桜の花の咲く時期に釣れる桜色のサカナだから“花鯛”または“華鯛”というのがひとつ。もうひとつは大型になると、オスはおでこが張るので、これを鼻にみたてて“鼻鯛”という説である。

ボク個人的なイメージとしては、数が釣れて、桜が満開のようだから華鯛というのが一番いいと思うのだが…。

このハナダイに非常によく似た仲間に「マダイ」がいる。特に幼魚、若魚時代は双方とも酷似していて、知らないとみんなマダイだと思ってしまうほど。

このマダイとの見分け方のコツは、尾ビレの縁を見れば一目瞭然。マダイは尾ビレの後縁部(尾ビレの最も終わりの部分。マダイだとちょうど『く』の字型になっている部分)が黒く縁取られていて、またその下側の先端部は白い。

その一方で、ハナダイの尾ビレの縁は、尾ビレの色そのまま。まずはここでほとんど見分けがつくはずである。
仮に尾ビレが傷んでいて、この見分け方が使えない場合は、エラ蓋の縁をチェック。ハナダイはかなり鮮明な赤色で縁取られているが、マダイの場合はそのような色の縁取りはエラ蓋には無い。


(次回の予定はハナダイの料理。15日に更新予定です)

豊田直之プロフィール

龍宮千一夜

2008年4月 1日(火) 豊田直之フォトエッセイ固定リンク

2008年3月25日(火)

二十一話 肝はキモいような、美味しいような  カワハギ

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ボクの仕事仲間が2人、口を揃えて「近いうちに釣りに連れて行って欲しい」と言う。それまでまったく釣りなんて話題にもならなかったので、これでまた海釣りの話題で盛り上がれるなと、ボクは密かにほくそ笑んだのだった。

だがさらに詳しく聞くと、2人ともまったくの素人で、釣り道具もクーラーもウエアすら何も持ってやしない。そして釣りたいものはなんと「カワハギ」だというではないか。

カワハギ釣りは難易度も高く、それこそベテランの域でもときには泣かされる厳しい釣り。初心者が果敢に挑んでも、ボウズをくらうか、船酔いでダウンがせきのやま。何も初回からそんなに難しい釣りではなく、のんびりと静かな内湾でキス釣りでもしませんかとなだめてみたが、2人は頑固にカワハギ釣りだと言い張る。

なんでそこまでカワハギにこだわるのかをたずねると、どことやらで、冬場のカワハギの肝は天下一の絶品。それを食べるなら自分で釣るしかないという話を聞いたからだという。

結局、そこまで言うならと、その2人を連れてカワハギ釣りに行くことになった。かろうじて1人2?3尾釣らせることもでき、喜んで帰る姿を見て、ボクもとりあえずホッとしたのだった。

それから3ケ月ほど経ったある日。再びその2人と会う機会があり、カワハギ釣りの話題となった。だが2人とも浮かぬ顔をしていた。どうやら肝が思ったほどというよりも、ちっとも美味しくなかったらしいのだ。

よく聞いてみると、肝をそのままたたき、それを醤油にとかして刺身を食べたらしい。刺身がうまく切れなかったこともあったのだろうが、生臭さが鼻について食べられなかったのだそうだ。

本来、肝は可能な限り崩さないように取ってから、水で半分に割った日本酒につけてよく洗い、そのあとさっと軽く熱湯をかけて湯引きすると生臭さは消える。このような下準備を施してから、肝あえのお刺身、または肝そのものをポン酢かわさび醤油でいただくのだ。

こうしてみると、改めて釣りとは、ただ釣るだけではない。食べ方も釣技のひとつだとボクは思うのだ。

(次回はハナダイ。連動企画として釣り方や食べ方を解説する動画、また隔週刊つり情報での月1連載も始まります)

豊田直之プロフィール

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2008年3月18日(火)

二十話 仕掛けが立つと大胆には喰わなくなる  カワハギ

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ふだんは、海底の砂に強烈な水鉄砲をぶつけて、そこに潜む小さなエビ・カニ類やゴカイ類、貝類などを大胆に捕食するカワハギ。だが、ボクたちが仕掛けを入れると、喰い方に大胆さはなくなり、まるでこそ泥がかすめるようにエサを盗っていく。この違いは何か?

ボクはその謎を解くべく、もう何年も前にカワハギ釣りの現場に潜ってみたことがある。そこで見たカワハギの摂餌行動は、実に興味深いものだった。

まず、カワハギ釣りの仕掛けが胴突き仕掛け。オモリが最も先端にあり、ハリはその途中から2~3本枝バリとして出ている。この仕掛けを沈めて、オモリが着底する。一度サオをゆっくり大きくあおって、再びオモリを着底させ、仕掛けを立てる。これが大昔のカワハギ釣りの釣り方だった。

エサは宙ぶらりんとなり、それを喰うためにカワハギはちょうど運動会のパン喰い競争のような喰い方になる。それでもカワハギは、前回のお話のように巧みにホバリングをして喰うが、そのときは、まるでエサを喰いちぎるような喰い方をする。

それから時代はまず、“集寄(しゅうき)”に走った。アワビの殻を張ったものなど、とにかくキラキラするものがはやった。カワハギも好奇心が強く、海底で集寄がキラキラしていると、寄ってきたのだ。

そこからまず「タタキ釣り」という、集寄を海底で躍らせて、とにかく寄せてエサを喰わせる釣り方が流行った。ところが、その一方で、集寄を中オモリと見立てて、仕掛けを海底にはわせた方がカワハギの喰いがいいことに気づいた人たちもいたのだ。

実際に仕掛けをはわせ、エサが海底に落ちているような状況を作ってやると、カワハギは本来の大胆な喰い方をして、何度もハリを口の中に入れては出す。仕掛けをはわすことでこの行動にシフトすることを、ボクも水中観察で確かめることができたのだ。

ここ何年かは、さらに釣技が進歩したのと同時に、メーカーサイドもさらに鋭敏な穂先を持つ竿を開発し、その相乗効果で今シーズンはかなり豊かな釣果が連日報じられた。
さすがに釣期も終盤となり、釣果は減ったが、まだまだこの釣りは今後も進化し続けそうな気配である。

(つづく)

豊田直之プロフィール

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2008年3月11日(火)

十九話 自由自在に泳ぎ回る巧みな泳法 カワハギ

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昨年の10月ぐらいから、今シーズンはカワハギが釣れ続いた。一人50枚なんて信じられない釣果も連日報じられ、カワハギフィーバーとなった。好釣果の原因は、カワハギが例年よりも多かった年でもあるのだろうが、微細なアタリをとれるようになった最新のサオを含め、釣技の進化も理由として挙げられるだろう。

そもそもカワハギは、背ビレ、尻ビレを巧みに使って泳ぐサカナ。もちろん早く泳ごうとするときは尾ビレを使うが、水中のある場所にとどまったり、エサなどにゆっくり近づいたりするときは、背ビレと尻ビレとをうねるようにヒラつかせて巧みに泳ぐ。それはまるでヘリコプターのホバリング。上昇も下降もせず、また前進後退もせず、空間にとどまる。胸ビレはそれを補助するようにブレーキをかけたり、平衡を保ったり、わずかに前進するときなどに使われている。

だから、仮に胴付き仕掛けをオモリを海底につけて立たせたような場合でも、宙ぶらりんとなったエサに対し、自分の体重が仕掛けに一切かからないような泳ぎ方ができるのだ。

言ってみれば、ハチが飛びながら花の蜜を吸う。そんなニュアンスだと思えばわかりやすい。となると、アタリとしては、カワハギがエサをかじるガツッとか、引っ張るときのグイッという感じしかミチ糸を通じてサオまで伝わらない。

また喰い方は、釣り人からするといやらしい喰い方。小さな嘴(くちばし)状の口で、口先だけでちぎって喰う。いきなり飲み込むようなことはしない。だからなかなかハリにかからないのだ。

ところが、本来のカワハギはこんなセコイ喰い方はしない。ふつう彼らは、海底の砂地などに隠れている小さなエビ・カニ類、ゴカイ類、貝類などを食べている。その食べ方とは、海底に向け口から強く水を吹きつけて砂を飛ばし、そのことでむき出しになったエサをガツガツと喰う。つまりかなり大胆な喰い方をするサカナなのだ。

なのに、なぜ仕掛けの付けエサを大胆に喰ってくれないのか?  その本題は来週お話することにしよう。

(つづく)

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2008年3月 4日(火)

十八話 カッカしてしまうカラダに悪い(?)釣り カワハギ

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釣りというのは、貴重な余暇の過ごし方のひとつのスタイル。だからボクたちが釣りにでかけるのは、本来ならばふだんの生活においてのストレス発散や気分転換のためのはず。ところが、このカワハギ釣りというのは、なぜか逆にイライラ感をつのらせ、ストレスをためこんでしまう釣りなのである。

ボクたち釣り人は、こんなサカナごとき相手に、どうしてここまで妙にムキになってしまうのだろうか。
ボクはその理由のひとつが奴の風体にあると思うのである。

カワハギには悪いと思うが、いくつか悪口を言わせてもらおう。口を尖らせ、まるでヒョットコ面を思わせられるようなマヌケ顔。そこには巧妙な策を練ったり、巧みな技の使い手をイメージさせる要素は微塵もない。さらに敏捷さのかけらすらも感じられないような円いカラダつき。いかにも誰にでもひょいひょいと釣れてしまいそうな見かけなのに、それがそう簡単には釣れないところに釣り人の心理として、大きな気持ちのギャップが生まれる。

さらにもうひとつの理由として、釣りの常識があてはまらないことにあると思う。
ハリに丁寧に付けたはずのアサリのムキ身エサ。仕掛けを上げると、まるで手品のように見事に消え去っている。他の普通の釣りのように、ガツガツとか、ブルブルッというようなサカナがエサを喰う感触があって、仕掛けを上げるとエサが無くなっているというのならまだ納得がいく。
だが、まるで怪盗ルパンのように、何も痕跡を残さずにきれいにエサを盗み去っていく。まれにガツンという明確なアタリがあって、あわててアワセをくれたとしてもハリがかりしない。運よくハリがかりさせると、「エッ?!」って思わされるほど強いヒキを見せて暴れる。とにかく意外性の塊り、それがカワハギというサカナなのである。

さらにもうひとつの意外性は、見てくれとはうらはらな美味しさにある。食べ方は追って後日書くことにしても、この冬場は肝も発達し、その肝をからめた醤油でいただく刺身は誰もが絶賛する美味しさだ。

(つづく)

豊田直之プロフィール

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2008年2月26日(火)

十七話 水中の彼らの動向 カレイ

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カレイの仲間は、砂または砂泥質の海底を好んで棲む。海底に着底し、ふわりと海底に乗っている状態や半ば砂に埋もれるような状態で暮らしている。特に潮の流れなどがある場所は、海底の砂や砂泥が潮の流れで運ばれたり、吹き溜まりとなる場所があり、海底に起伏や凹みのようなものができあがる。そんな場所を好んで棲むようである。

カレイは、実に好奇心が旺盛で、例えばボクが海底で指を動かしたり、手のひらで海底を小刻みにたたいて砂煙を上げたりすると寄ってくる。おそらく海底で奇妙にうごめくものや、砂煙のたつところに捕食の可能性があることを本能的に知っているのだと思う。特に砂煙が上がるというのは、他のサカナが何かエサを喰っていたりする場合が多い。そんなときに、砂や砂泥の中に潜んでいるゴカイや小さなエビの仲間などが飛び出してきたり、何かエサのおこぼれに預かれる場合が多いからだ。

カレイ釣りでオモリで海底をこづくが、それはトントンと音をさせたり、砂煙を上げてカレイの興味をそそって寄せることにつながる。仕掛けの近くまで寄せ、付けエサを喰わせることを狙った方法なのだ。
ただそこから先の行動も興味深い。好奇心が旺盛なわりに、いきなり喰いつくようなことをしないのだ。例えば好奇心旺盛なサカナとしてはアイナメがいるが、このサカナはがっついていて、いきなり喰いつく場合が多い。ところが、カレイの場合はいきなり喰いつかず、何か見つけると寄ってはいくものの、間近までせまってそれをジッと見つめる。まるで近視であるかのようにそのものに近づき、じっと見つめる。本当に喰えるのかどうかを見極めているのだろうか?
そして喰えると思うと、まずはエサをくわえるのだが、いきなりガブガブといくわけでもない。エサの先っぽをくわえて、これは美味しく喰えると判断するまでに、しばらく時間が必要。そして喰い始めると、ガブガブッという感じでエサを飲み込む。いつもいつもこの順序で喰うとは限らないかもしれないが、これをイメージしていつタイミングとしてアワセたらいいのかを現場で試して欲しい。ちなみにボクなら、アタリがあったらサオ先を送り込み、ゆっくり10を数えてからキキアワセかな。

豊田直之プロフィール

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2008年2月19日(火)

十六話 やはり刺身かから揚げか? カレイ

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おそらく釣り人の特権というのは、魚屋やスーパーでは手に入らない超自然な状態で、しかも抜群に新鮮な食材を用意できることだろう。とくにマコガレイなどというと、自分で釣らない限りなかなかお刺身でいただくことはできない。

ボクもマコガレイのお刺身をいただいたのはここ数年前ほど。自分で釣ってきたものを自分でおろしてみた。30cmオーバーの良型なら、まずは絶対にお刺身でいただきたいもの。身は白身の部類だが、うっすらとピンク色を帯びている。薄くスライスしたお刺身は、好みにもよるかもしれないが、普通にわさび醤油でいただくよりも、ポン酢醤油にもみじおろしでいただいた方が合うように思う。ほんのりと甘みがあり、しこしことした歯ごたえも堪能できるはずである。

またやはり新鮮な状態だと旨みが違うと思えるのが、から揚げである。気の利いた居酒屋などに行くと、カレイのから揚げなるメニューもあったりするが、釣りたてのものは身離れのよさといい、味といい、それとはまったく異なる感じだ。

マコガレイをはじめ、カレイの仲間は、うろこがかなり細かい。下ごしらえとして表裏両側を丁寧に落とすことがポイント。エラと内臓とを取り除いたら、全体に片栗粉をまぶし、160度ほどに熱した油でカラリと揚げる。別にやや薄味の天つゆを作っておく。揚げたカレイを皿に乗せ、その上から全体にかかるようにその天つゆを大胆にかけてひたす。大根おろしを添え、温かいうちにいただく。ビールでも焼酎でも合うが、やはりカレイ料理には熱燗の日本酒がベストチョイスな気がする。

白ワインとアレンジするなら、洋風アレンジもいいだろう。フライパンにオリーブ油少々とニンニクスライスを入れて中火にかける。カレイの身とトウガラシとをいれ、身の両面に色がつくまで焼く。塩コショウで味付けし、醤油を少し加えて味を調える。身の上に一緒に揚げたニンニクスライスを乗せ、クレソンの葉を添えると、日本酒よりもワインの似合うおしゃれな料理となる。ぜひお試しあれ。

(つづく)

豊田直之プロフィール

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2008年2月12日(火)

十五話 仙台湾の発想を東京湾へ カレイ

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釣りというのは、同じターゲットでも日本各地で釣り方や仕掛けが違うもの。
前回の話で、仙台湾のカレイ釣りと仕掛けを手に入れたボクは、これはぜひ、東京湾のマコガレイ釣りに試してみたいと思った。

オモリにしろ、テンビンにしろ、仙台で売られていたような派手系アイテムは、東京近郊の釣具店ではその当時手に入らなかった。もしかしたら、同じようなことを試した人が以前にもいたかもしれない。試した結果があまりよくなかったから、東京近郊の釣具店で売られていなかったのかもしれない。

だが、そういうことは自分の感性で実際に試し、結果を自分の目で見たいと常々思う。いい結果が出れば採用すればいいし、だめだと思えばやめればいいだけだ。

ボクが海の中で見たカレイの生態としては、とにかく好奇心が旺盛であることと、なにかあまり視力が良さそうでないこと。つまり、煙幕を出したり、音を出したり、派手なデコレーションを施して目立たせること、こういったことがカレイの興味を引き、エサに喰いつかせることにつながりそうだと考えていた。
仙台のマガレイと東京湾のマコガレイでは、確かに種は違うが、同じカレイの仲間。サカナの進化の中でも同じような暮らし方をしていて、ああいった平べったい体型で、海底にはりついて生活をするもの同士。おそらく共通点はたくさんあるはずだ。

ある日、早速、オモリとテンビンはショッキングピンク色のものを使い、仕掛けも自作して、仙台のカレイ釣り仕掛けのような派手めのデコレーションを施し、東京湾のマコガレイ釣りに出撃した。仕掛けのデコレーションのアイテムとしては、東京近郊の釣具店でも手に入れられるようなグリーンやピンクの夜光玉、ショッキングピンクか赤色のビニールパイプをハリスやミキ糸に使った。とにかくこの仕掛けで、仙台湾流に海底を小突き、海底でオモリが踊って煙幕を出すようなアクションを積極的に加えてみたのだ。

結果は良好だった。少なくとも今まで東京湾で使っていた、オモリやテンビンも含めた一般的な仕掛けで釣っていたよりも釣果は伴っていたように感じられた。

そしてその後、マコガレイを狙った仲間内の小さな釣り大会で、この仕掛けを使って準優勝を果たした。優勝はその日の最大寸で争われたのだが、優勝者が41cmを1尾のみ。ボクは40cmまでは届かなかったものの、39cmを頭に、38cm、33cmと良型を含む計8尾で、釣った尾数では他の誰にも負けていなかった。
まぁこんな釣り大会の結果を自慢しても何もならないが、本場仙台流の釣り方や仕掛けに対する考え方は、東京湾のマコガレイ釣りでも大いに通用するとボクは考えている。

興味ある方は、一度仙台へ釣具店をのぞいたり、実際に本場のカレイ釣りを体感されたし。

(次回へつづく)

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